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【無線工学】《基礎理論》(H29-10午前(7))半導体及び半導体素子について

問題

 次の記述は、半導体及び半導体素子について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。

1 不純物を含まないSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)等の単結晶半導体を真性半導体という。

2 ホトダイオードは、電気信号を光信号に変換する特性を利用するものである。

3 PN接合ダイオードは、電流がN形半導体からP形半導体へ一方向に流れる整流特性を有する。

4 P形半導体の多数キャリアは、電子である。

解答 1

2 ホトダイオードは、光信号を電気信号に変換する特性を利用するものである。

3 PN接合ダイオードは、電流がP形半導体からN形半導体へ一方向に流れる整流特性を有する。

4 P形半導体の多数キャリアは、正孔(ホール)である。

半導体

1-2-2-1C

金属や電解液のように電気を通しやすい物質を導体、ゴムやガラスのように電気をほとんど通さない物質を絶縁体という。上図の周期表のⅣ族に属するゲルマニウム(Ge)やシリコン(Si)は半導体と呼ばれる物質で、導体と絶縁体の中間に位置する。半導体は、温度が上がると、抵抗が下がる性質をもっている。

真性半導体にゲルマニウム(Ge)やシリコン(Si)などのⅤ族の原子(5個の価電子を持つ原子)をわずかに加えると共有結合した結果、1つの電子が余る。この余った電子が自由電子となり、電気伝導の役割を果たす。この場合の自由電子をドナーという。

真性半導体にホウ素(B)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)などのⅢ族の原子(3個の価電子を持つ原子)をわずかに加えると結合した結果、価電子が1つ不足する。この1つ不足している穴(正孔:ホール)は、電子が穴に移動してくる電気伝導の役割を果たす。この場合の正孔をアクセプタという。

ドナーやアクセプタのような電気伝導の担い手をキャリアという。このキャリアが移動することによって電気の伝導が行われる。キャリアが移動することを拡散という。多数キャリアが電子の場合その半導体をn(negative)形半導体といい、多数キャリが正孔の場合にはp(positive)形半導体という。

pn接合とダイオード

p形半導体とn形半導体の結晶を接合させることをpn接合という。このpn接合半導体の両端に電圧を加える。p形半導体に+、n形半導体に-の電圧を加えた場合を順方向電圧、p形半導体に-、n形半導体に+の電圧を加えた場合を逆方向電圧という。
順方向電圧を加えると、n形半導体の多数キャリアである電子がp形半導体領域に、逆にp形半導体の多数キャリアがn形半導体領域に、それぞれ相手方の多数キャリアと再結合する。結果として、p形半導体からn形半導体の向き(電圧の向き)に電流が流れる。
逆方向電圧を加えると、それぞれの多数キャリアは順方向電圧とは逆向きに移動するため、電流は流れなくなる。p形半導体とn形半導体の接合面には、自由電子や正孔(ホール)が存在しない、空乏層ができる。
このように、1組のpn接合に電極を接続した素子をダイオードという。ダイオードでは、p形半導体に接続された電極をアノード(A)、n形半導体に接続された電極をカソード(K)という。

ダイオード

(1)定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)
ダイオードに逆方向電圧をかけると、通常逆方向電圧では電流が流れないが、ある一定値を超える逆方向電圧をかけると逆方向電流が急激に増大する降伏現象が起きる。ある一定値を降伏電圧という。電流の変化に対して電圧はそれほど変化がないことから、定電圧回路として利用されている。

(2)バリスタ
電圧-電流特性が原点に対して対称で、原点付近では高抵抗になっており、ある一定以上の電圧・逆電圧をかけると急激に抵抗が下がり急激に電流が流れ出す特徴がある。この特徴を利用して、回路の電気的衝撃防止や自動調整機能などに利用される。

(3)可変容量ダイオード
pn接合に逆方向電圧をかけると、電圧の大きさによって空乏層の幅が変化し、逆方向電圧が大きくなると空乏層の幅が大きくなる。この空乏層はコンデンサの働きをする。逆方向電圧を制御することによって、静電容量を変化させることができる。

(4)発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)
電気信号を光信号に変換する発光素子である。pn接合の間に極めて薄い活性層を挟み、順方向電圧を加えると光を発する。

(5)半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)
発光ダイオード(LED)と同じく電気信号を光信号に変換する発光素子である。これもpn接合の間に極めて薄い活性層を挟み、順方向電圧を加える。光の波長の整数倍の長さに切断した両面を反射鏡とした構造で、活性層の間に閉じ込めた光を誘導放射により増幅し共鳴させることでレーザ発振を起こさせる。レーザ光の一部を放出する。

(6)フォトダイオード(PD:Photo Diode)
光信号を電気信号に変換する受光素子である。pn接合に逆方向電圧を加え、pn接合面にを当てると逆方向電圧が増加する。

①PIN型フォトダイオード(PIN-PD)

p型半導体とn形半導体の間に絶縁性のあるi型半導体があります。このi層に比較的低い電圧をかけて光を当て、キャリア移動により高速応答が得られます。

②アバランシェフォトダイオード(APD)
増幅機能を持つ超高速応答が得られるフォトダイオードで、構造はp形半導体とn形半導体のうちp形半導体がp+層、p-層、p層の3層に分かれます。高い電圧をかけ、p層に光を当てると、この3層により生成した電子が電子雪崩を起こします。増幅はこの電子雪崩によって起こります。

(7)トンネルダイオード(エサキダイオード)
不純物濃度を大きくしたpn接合ダイオードで、トンネル効果により小さな電圧で大きな電流が流れる。また、順方向電圧を上げていくとトンネル効果が減少する領域があり、この領域では負性抵抗を示します。この負性抵抗は、マイクロ波域まで応答性があるためマイクロ波発振回路に利用されます。

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